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エンジェルビーツの思い出|覚悟決めたはずの主人公がヒロインの前で急に日和る展開、好き

砂トキの萌え語りしてたらエンジェルビーツのこと思い出して懐かしい気持ちになったので、エンジェルビーツの思い出を語ります。
ネタバレあるので気を付けてください。



エンジェルビーツの好きな演出

エンジェルビーツは私が大好きなアニメの一つです。2010年放送のアニメですが私が見たのは再放送だったのでもうちょっと後ですね。
ざっくりとあらすじを説明すると、死後の世界の学園で、生徒たちの生前の未練を解消して「卒業」(成仏=転生)させてあげたい天使ちゃんと、転生を拒んで天使ちゃんに抗う生徒たちのお話です。

でもこのアニメ、めちゃくちゃ惜しい作品だと思うんですよね…私は大好きだけどその惜しさもよく分かる…
場面場面でいうと本当にいいシチュエーションとか演出はいっぱいあるんですよ。
主人公の音無くんの生前のエピソードとか、天使ちゃんが記憶を取り戻すくだりとか、最後の卒業式とかほんと好き…。

特に卒業式でキャラが消えてく演出はめちゃめちゃめちゃめちゃ好き!!!普通フィクションだとキャラが消滅する時って「ありがとう……さようなら……」とか言いながら徐々に姿が薄れてキラキラしながら消えてくのが定番じゃないですか。
でもAB!はマジで突然いなくなるんですよ。カットが切り替わった瞬間、さっきまでいたはずのその人はもういない。姿も声も。
そして残されたキャラたちは、その人がいなくなったことを知っても大袈裟なリアクションはしないんですよ。「ああ、お前もいなくなったんだな」みたいな淋しい顔をするだけ。
この演出考えた人天才すぎるよほんと


惜しい原因は尺の足りなさ

ただ、それぞれのシチュエーションや演出は神なんだけど、それらを繋ぐ縦軸が弱いのは否めないんだよなあ!?!?
最後の3〜4話あたりの「巻くわよ!!!!!!!」って感じの生き急ぎすぎてる展開は何度見ても笑っちゃう。すさまじいナレ死。名有りのキャラたちが特に最後とか描かれないまま「いいやつだったよ…」みたいなノリで十把一絡げで処理された。
突然の石田彰も結局なんだったのか未だによくわかってない。

これが脚本のだーまえの手癖なんだろうなという気はしてる。
だーまえ脚本のオリアニはAB!とシャーロットの2本しか見てないけど、前半のぐだぐだ日常に尺を割いたせいで後半の怒涛の展開を十分に描くだけの尺が全然足りてないんだよな…
壮大で感動的なシナリオを書くことはできるが、それを1クールという限られた尺の中にちょうどよく収める才能はないんだなって思った。世界観とストーリーを描き切るには1クールはどう考えても足りなすぎる。

だーまえ作品って、「キャラたちのぐだぐだ日常(野球回込み) 」と「壮大で感動的なシナリオ」の2本柱じゃないですか。
前半の日常回に注力すると後半の本筋の描写が薄れて、雑な超展開に見えてしまう。
かといって日常回を疎かにすると、キャラに愛着がもてないので後半の本筋も「フーン」ってなっちゃう。
どっちが欠けても駄目なんですよね。そして1クールではどっちも描ききれないから尻切れとんぼの中途半端なアニメの印象になってしまう。私が「惜しい」と思うのはそこです。

結局ゲームが一番いいという結論になる。ゲームなら尺気にせずに全部詰め込めるからね…オリアニでちゃんと作るならそれこそ4クールくらいかけないと…
今度出る新作はゲームらしいのでその点は安心かもしれない。


視聴者からボコボコに叩かれた最終話の音無くんの言動

エンジェルビーツといえば、最終話の音無くんの言動が視聴者からボコボコに叩かれたことで有名。
リアタイ当時はアニメ見てなくて外野だった私ですらその話題は耳に入ってましたからね。実際に最終話見たらそのお怒りの理由はよく分かった。

天使ちゃんに賛同して、クラスメイトたちを次々と「卒業」させていった音無くんだけど、最後の最後、自分と天使ちゃんの2人だけになった時に「やっぱ成仏するのやめて2人で学園に残ろう!」みたいなことを言い出すんですよね。
でも天使ちゃんは既に未練を解消した後だったから「命をくれてありがとう」ってきれいな笑顔と共に消える。
号泣する音無くん。そして物語は転生後の再会を暗示して完!!!!!

それまで散々上から目線とも取れる態度で仲間たちの成仏を斡旋しておきながら最後の最後で日和るのかよ…………という気持ちはまあ分かる。
でも私は人間くさい反応だな〜と思って音無くんのあの言動好きです。

今までは「仲間たちを成仏させなくちゃいけない」ってある種の使命感に突き動かされてたわけじゃないですか。仲間たちが気持ちよく成仏できるように、無理して明るく振る舞っていたように思う。

そうやって張り詰めていたものが、最後の最後、好きな子と2人きりになった瞬間にほどける。安心感とか解放感とか、全部一緒くたになって溢れ出して、今まで押し殺していた「本音」や「わがまま」までこぼれ落ちてしまう。本心をさらけ出してしまう。
それが音無くんにとっては「天使ちゃんとずっと一緒にいたい」という思いだったんじゃないかな〜って…

顔ぐちゃぐちゃにしてみっともなく泣いてるとこ、「情けねえなオイ」よりも「ちゃんと好きな子にみっともないところ見せられてよかったねえ…」みたいな気持ちになるんですよ私は。

シナリオ的には、仲間たちを爽やかに見送ったあと、天使ちゃんとも爽やかに別れさせることだってできたはずなんですよ。その方が収まりもいいはずです。
でもだーまえはそうはしなかったんだよなあ…敢えて最後の最後に音無くんのみっともないところを見せて物語を終わらせた。かなり勇気のいる判断だったと思うし、実際ボコボコに叩かれまくったけど、私はめちゃめちゃ好きです。


僕の生きる道

「覚悟決めたはずの主人公がヒロインの前で急に日和る展開」で思い出した作品がひとつあります。
2003年放送の「僕の生きる道」っていう草なぎつよぽん主演ドラマ…の、ノベライズ。ドラマ自体は見たことがないんですけど、母がノベライズ版だけ持ってたのでそれで読みました。

余命1年と宣告された高校教師が、死を前にしてもう一度人生を生き直す話です。
主人公は余命宣告されて始めは自暴自棄になるんだけど、いろんな人の支えによって前向きに残り僅かな時間を生きていくんですよね。
生徒たちとも打ち解けて、ヒロインとも結ばれて、もう何も思い残すことはないんじゃないかってくらい満ち足りた心境になる主人公。もう悟り開いてるんじゃないかってくらい。

でも、ヒロインと2人で旅行かどこかに行った時、「死にたくないよお…!!!」って顔をぐしゃぐしゃにしながら赤ちゃんみたいに声を上げて泣くんです。ヒロインにすがりついて。
それまではどんなに感動的な展開でもフーンて感じだったんですけど、そのシーンのとこで一気に涙ドバーーー!!!!ってなりました。
そうだよな…どれだけ覚悟決まってるつもりでも本当は死にたくなんかないよな…当たり前にさあ…
ヒロインと2人きりの時にだけ、その本心をさらけ出すことができるってとこにも泣けた。

AB!の最終話も、これも、私にとっては大好きなシーンです。性癖といっていい。
語ってたらAB!見返したくなったしドラマも見たくなってきた…