luica_diary

オタクが好き勝手語るブログです

主NまわりのBGMについての再考|Nの城の階段は実質「橋」だよねという話

久々にポケモンBWのサントラを流していました。
BW1はシリーズの中でもとりわけ思い入れが強いゲームなんですが、BGMにも力が入っているように感じてとても良いです。ストーリーと曲が密接に結び付いているように思います。BGMを聴くとそれが流れていた場面まで鮮明に思い出せるんだからすごいよな……

というわけで作中で使われていたBGMについて暑苦しく語ります。以下長いです。



Nさんの登場シーンの曲は胡散臭さ全開で、Nさんとの初対面時の「うわなんかヤバい奴きた……」感が笑えます。数式に囚われた者とかいう曲名考えた人どうかしてる(褒め言葉) オークに囚われた姫騎士みたいなノリを連想しちゃうじゃん!?
でもその胡散臭い曲がオルゴール調にアレンジされて、よりによってNの部屋で流されると別のヤバさを感じるんだよな……Nの部屋から滲み出る狂気とBGMの不穏さが相乗効果を発揮して途端にお触り禁止案件になる……


Nさんとの戦闘曲は通常バージョンの他に最終決戦用のアレンジも用意されていて最高。
通常戦闘BGMは、序盤~フキヨセまでのNさんがプラズマ団関係なく完全に個人として行動している(ように見える)からか、刻まれるリズムも軽快で、Nさんのフットワークの軽さとフリーダムさを感じますね。テンポの速さはそのままNさんの頭の回転の速さを表してるっぽいよね。Nさんは喋る時の字幕の表示もめっっちゃ速いんだよな…思考と同じスピードで喋るから早口なんだろうな…


決戦BGMは最初のピロピロ~っていう入りが特に良い。通常戦闘曲と比べると、王様らしく豪華かつ重厚で、鬼気迫るアレンジになっているような気がする。テンポの速さは通常曲と変わらないんだけど、通常曲にあるような軽快さは感じられない。なんというか、王様としての重責を背負う覚悟を決めたんだな……って感じ。
でもこの曲、途中でドッ…ドッ…って心臓の鼓動のような音が入るじゃないですか。あれは、負けられない戦いに挑む緊張……もあるかもしれないけど、個人的には主人公(トウヤくん)との戦いを純粋に楽しんでいる、興奮から来る鼓動なんじゃないかな~と思うわけです。

もちろんNさん自身はポケモンを戦わせることが嫌いだし、主人公との決戦だって凄まじい悲壮感あふれる覚悟でもって戦いに臨んでいるし、ポケモンバトルを楽しむなんて彼にとっては言語道断の行いだろうけどさ~~~?楽しいと感じる自分を認めることは許せないだろうけどさ?
でも実際途中から楽しさを感じてたでしょ?ねえNさん???自覚してないけどきっと戦闘中楽しくて心臓ドキドキさせてたでしょ??王様としてではなく、Nさんという個人として、主人公と戦うことが楽しくて仕方なかったでしょ???

……と思わずにはいられないんですよねえ~~~~~
アレンジの仕方でここまで妄想させるBGMの力ってすごくないですか?ほんとNさん絡みのBGMはキャラクター性を際立たせていて最高。


ここまで書いといてふと思い出したんですが、そういえばゲーフリの偉い人がNさんのBGMについて語ってたブログがあったよな?
てことでブクマを漁ったら出てきました。これです。

・第215回・- 増田部長のめざめるパワー
https://www.gamefreak.co.jp/blog/dir/?p=539


この記事が公開された時のことを私は密かにナチュラハルモニアグロピウス事件」と呼んでいる。Nさんのクッソ長いフルネームが公開された事件。

「感情の起伏が激しい」
ポケモンには愛たっぷり、人とは距離を置いている」
「自分自身を完全体だと思っている」
「人間離れしているため、人から恐れられてきた」

このあたりのワードがめちゃくちゃ性癖に刺さるし今改めて読んでも最高オブ最高だな
本名公開の衝撃で半分意識が飛んでたけど、この増田氏の記事、Nさんのについてめちゃくちゃ詳しく書かれてるやん!
素数になぞらえて曲を表現しているらしいけどちょっと難しすぎて意味がわからない!!!私は感覚で音楽を捉えるマンなので理詰めで作曲する人とはとても相性が悪いことが分かった!!

「脳内の電気の流れのイメージ」
「軽やかなバスドラ、無気味なベースは王であるNというより、天才を表現しています」
「過去未来が読めるというニュアンスで時計の音で表現」
「スチールドラムの金属的な音でフェードイン、キラキラさせていますが、これもNの頭の回転の早さを示しています。(ドーパミン放出!みたいな)」
「Nとの最後のバトルなので、高尚かつ神秘的なイメージのため、わざとパイプオルガンで、このフレーズ」
「Nの吹き出す感情。冷静なNが心の底から怒りが込み上げてくる感じ」
「感情にプラスして乗りかかる思考(ドラム)」
「エネルギーの爆発。Nのすべてが解き放たれる」
「そのエネルギーの残り香」

なんだこのNさんの夢小説みたいな文章は……BGMの解説とは思えない……エネルギーの残り香ってなんだよ……意味深発言やめろ……
久々にこのブログ記事読んだら増田氏がいかにNさんに萌えてるかが分かったので良い収穫でした。




で、ここからが本題です。
BWのBGMの中でも1、2を争うくらい好きなのが「使命を抱いて」というタイトルの曲です。Nの城に続く階段で使われています。タイトル通り使命感あふれる曲調でめちゃくちゃかっこいいし好き。
でも、Nの城の階段って、非常に短い一本道をまっすぐ上っていくだけなのに、なぜか専用グラフィックと専用BGMが用意されてて謎だったんですよね……私の記憶が確かならBW1ではこの曲はほんとにここだけでしか使われていないはず……BW2ではジャイアントホールでのハルモニア親子のイベントでこのBGMがずっと流れてたんで「おっ扱いがよくなったな!」と喜んだ記憶があります。

じゃあなぜそんな短いイベントのためだけに専用グラと専用BGMが用意されたのかって話ですよ。
ストーリー上重要な位置におかれているのは間違いないだろうけど、なぜこの階段にそこまで力を入れたのか?


結論から言います。

あの階段もまたイッシュの「橋」であるからです。


ポケモンBWにおいて、橋という建造物は非常に重い意味をもちます。
スカイアローブリッジ、ホドモエの跳ね橋、シリンダーブリッジ、ビレッジブリッジワンダーブリッジ、ハイリンクの橋等々、イッシュにはやたらと橋が多い。そして橋の見せ方にやたらと力を入れている。

いつぞやのニンドリのインタビューで、増田氏がシステムとかストーリーそっちのけで橋の設定を熱く語ってて「うわあ何この橋大好きおじさん……」と引いた覚えがあります。橋についての設定なんてほぼほぼ誰も興味ないだろと。
調べたら増田氏の橋インタビューまとめがあったので記事リンク貼っておきます

ポケットモンスター ブラック ホワイト」のイッシュ地方の「橋」(ブリッジ)の設定
http://pokemon-memo.com/2011/02/21/black-white-bridge/


『「橋ゲー」と言われることもある』の一文で盛大に笑ってしまった せやな……

それと増田氏のブログでも橋の設定について言及してる記事があったので併せてリンクしときます

・第201回・- 増田部長のめざめるパワー
https://www.gamefreak.co.jp/blog/dir/?p=470

ほんと橋大好きおじさんだな!?!?
世界的ヒットゲームを作るにはこれくらい作り込まないといけないってことなんだろうけど謎のこだわりが凄い Nさんと橋への愛が偏重してるけどすごいクリエイターだよこの人



話を戻します。

上記のように、BWの中で「橋」は非常に重要な存在です。橋のために専用グラフィックや専用BGMまで作られるほどに。
……この待遇、既視感がありません?
そうです!!!!Nの城の階段にも専用グラ、専用BGMが作られている!!!

つまりあの階段は実質「橋」!!!!!!(暴論)

今手元にニンドリがないのでうろ覚えなんですけど、橋インタの中で増田氏が語ってた内容を私なりに解釈した結果、

・橋は街と街、人と人とを繋ぐもの
・橋の「こちら側」と「あちら側」は別世界である。橋は異界との接点
・「橋を渡る」ということは、それまでの街や人との別れと区切り、新しい街や人との出会い
・「橋を渡る」ということは、新しい世界へと自覚的に踏み出すこと

……ということなんじゃないかな~と思いました。「橋」にはいろんな象徴的意味合いがありそう。全部私の個人的な解釈ですけど。
で、Nの城の階段を「橋」だと捉えた場合、あの階段を上るシークエンスにはどのような意味があるのか。


これまでの主人公の旅って、アララギ博士に図鑑完成を頼まれ、チェレンやベルのお願いに付き合い、プラズマ団ゲーチスの思惑に巻き込まれ……と、常に誰かの願いに流されて進んできたわけじゃないですか。もちろんそれはポケモンシリーズの主人公がいわゆる「無個性主人公」である以上避けられないことではあるんですけど。

階段が出現した後、Nさんは主人公に「キミも城へ来るんだ、そこで全てを決めよう」と告げて城の中へと消えます。
チェレンは「自分はポケモンといることで強くなれたと伝えてくれ」と主人公に言います。
アデクさんは「ポケモンと人を切り離しても何も生まれないということを教えてやってくれ」と主人公に頼みます。
(※セリフはうろ覚えなので勘弁してください)

ここまでの流れなら、彼らに請われるがまま、主人公が普通にポケモンリーグからNの城に即移動して戦闘開始となるはず。
でもわざわざ「城の階段=橋を渡る」、というシークエンスが挿入されているんです。ストーリーを一旦区切ってまで橋を渡らせた。
いいですか?私の解釈では「橋を渡る」ということは、新しい世界へと「自覚的に」踏み出すことなんです。そこには「選択」が生じます。「あちら側」へ行くことを自分で選んだ、という意思表示です。

それって……それって!!!!

今まで物語の進行を他者に委ねていた主人公が、初めて自分の意志でNさんに関わることを選んだってことじゃないですか!?!?!?!?!?(相当な論理の飛躍があることをお許し下さい)

やべーーーーーーですよこれは!!!!重大な発見ですよこれは!!!!!橋を渡らせることで意思表示の代わりにしてるんですよ!!!ウワーーーーーッッッ!!!!!萌え転がらずにはいられない!!!!!
私は7年目にしてこの事実(城の階段=橋)にやっっと気付いたんですけどもしかしてこれって7年前から既に周知の事実だったりします!?!?私が知らなかっただけか!?だとしたらこの発見で大喜びしてるの相当恥ずかしいな!?なんでもっと早くに教えてくれなかったんですか!!

階段を上る、ただそれだけのシークエンスがここまで重要な意味をもっているとは思わなかった……そりゃあたったの数秒で終わる場面にも専用グラと専用BGMが作られるわけだよ……

改めて「使命を抱いて」という曲タイトルを見ると感慨深いものがあるな……使命……使命ってなんだよ……Nさんやアデクさんやチェレン、これまで関わってきた多くの人から託された願い、そして「Nを止めたい」という主人公自身の願いも含めて「使命」なのかよ……重すぎるよ……

でも主人公はその重すぎる使命を「背負って」ではなく「抱いて」行くんですよ。
この表現すごくないですか???普通なら「使命」という言葉には「背負う」という動詞が使われるものでしょう?でもここでは「抱く」という表現がピンポイントで使われている。
もはや「呪い」と呼んでもいいような、押し付けられた数々の重荷や重圧を、主人公は決して背負わない。自分からいつでも見える場所、自分の胸の中に抱えていく。その荷物は、自分にとって本当に大切なものだから……ッッッ!!!

ウワーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!(尊さが天元突破して語彙を喪失したオタク)

なんだよもう……BW主が無個性主人公って言ったやつ誰だよ……主人公の意志はちゃんとそこにあったじゃないか……
私は今までこのBGMについて「なんかBW主の決断とか心の強さを感じて好きだな~~~」って感じで漠然と好きだったんですけど、今回それに明確な理由付けが為されたような気がしました。
思えば私は最初からこの曲をNさんではなく主人公の曲として認識していたんだった。
BW2ではハルモニア親子の問題に2主が関わっていく時にこのBGMが使われています。やはりこの曲は「主人公」とNさんの曲なんだなあ……


というわけでBWのBGMは最高という話でした。
熱く語ってたらまたBW本編をやり直したくなってきた。4週目行っちゃう~???もう7年も経ってて思い出が美化されてる感が無きにしもあらずなので、原作の彼らを見つめ直す意味でも再プレイしたい気持ちはあります。しかし困ったことに7年経っても主Nまわりのこととなると涙腺がゲロ弱なんだよ……この前だってポケジェネに散々泣かされたばかりだっていうのに ゲーム本編とかいう劇薬に耐えられる気がしない
未だに歌とかの中でカタカナ表記の「サヨナラ」に出くわすと「ウ゛ッッッッッ……」って低い呻き声を上げて身構えてしまうのはNさんのせいだからな……もはや呪いである……まあここまでくると「愛すべき呪い」の類だけどさあ……